駆け込み訴え

ジャニヲタ腐女子の観劇メモ

サクラパパオー

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5月12日、サクラパパオーを見てきました。


とにかくもう劇場入った瞬間に舞台装置がかわいい。たった馬6頭の小さなメリーゴーランド、きらきら光る星空、浮かんだわたあめみたいな雲。簡略化されたバーと馬券売り場はまるでミニチュアのように愛らしい。そんなおもちゃみたいな世界で、赤青黄ピンクときれいに色分けされた衣装で駆け回る役者さんたち。そんなまるで夢物語みたいな世界はなんと実は競馬場。しびれますね。最高です。
役者さんはみんな人間てしょうがないなあと感じさせるような肩の力の抜けたある意味ゆる~い演技が気持ちよかったです。片桐仁さんひさしぶりに舞台で拝見しましたが、やっぱりかわいい。ラッパ屋の劇団員の広岡さん木村さんが脇からラッパ屋らしい世界観をがっちり支え、伊藤さんと塚田くんのコンビは最高におもしろくて、市川さんの情けな~い演技が楽しくて、黒川さんの元気な演技が話を動かし、中島さんはひたすらセクシーなのに少女らしい演技でみんなの胸をつかむ。そして狂言回しの永島さん。みんなで話をつくってるという感じでした。塚田くんがカーテンコールで「ひっぱっているという感じはなかった」と言ってましたが、いい意味で「そうだろうなあ笑」と思う楽しそうなカンパニー。
げらげら笑ってほっこりしてすっきり帰れる楽しい舞台でした。たったの1時間45分の1幕なのに大満足でした。個人的に一番笑ったのはボンレスハムレット……。わたしはシェイクスピアが大好きなオタクなので第3レースの出走馬全員笑ってしまったんですが、ボンレスハムレットのインパクトには勝てなかったよ、、、


塚田くんてサクラパパオーが初座長なんですね。けっこう外部の舞台に出てるイメージだったので意外でした。そんな初座長の塚田くん、とにかくもうかわいい!!!そして演技がうまい!!!塚田くんて演技うまくないですか?わたしはうまいと思います。
わたしはとにかく運動神経のいい役者さんが好きなのですが、(ちなみに一番追いかけてるのが成河さん、最近気になってるのが玉置玲央さんです)塚田くんはもう本当に体の使い方がうまい。
ジャニヲタのわたしはもちろん塚田くんのアクロバットを見慣れてます。

それにしたって舞台上で突然バク転されたら人間はびっくりするんです!!!!

座った席の関係か周りがあまり塚田くんを見慣れていなかったのもあったみたいで、塚田くんがアクロバットした瞬間周りがどよめいてました。いつだってどこだって塚田くんは全力でしなやかで軽やかなんだなあ。あんなの見ちゃうよね!好きになっちゃうよね!
舞台のセンターにあるメリーゴーランドの柵、それをひょいと飛び越える塚田くん。演技中のジェスチャーですらキレのいい塚田くん。スーツですら背中の汗がわかるくらい動きまわっている塚田くん。
もちろん声や表情の演技だってうまいんだけど、体の動きによる説得力がすごいんですよ。命燃やしてるぞ~~~!っていう。中屋敷さん、もとい柿喰う客が身体表現を重視してやってるという点も塚田くんと合っていたのかもしれないですね。
なんというかわたしが舞台見に行って塚田くんが出ていたら絶対この子誰?ってなって次この子の芝居あったら見に行こうと思っていたにちがいない、そう思わせる演技でした。塚田くん好きだな~~!塚田くん!すごい!好き!!!



以降蛇足です(ここから先を書くためにこのブログを書き始めたんですが笑)

「ノンケBLノンケ百合、そして」

鈴木さんの脚本はいつもいつもいつも×∞萌えるんですよ!!!!萌え萌えです。
同じ女に振られた男、同じ男に先立たれた女、だます男とだまされる男。
どうですか?わくわくしませんか?萌えませんか?萌えます!
それがサクラパパオーという芝居なんです。
個人的には男ならず女までたらしこもうとして頬に手をはわしてくるヘレン、自分を信じるよう耳元でささやく予想屋がツボでしたね。ヘレンってきっと意識せずにいろんな人間をたぶらかしてて、それは本人悪くないんだなあと思いました。えろ~。

鈴木さんの書かれる脚本はいつも「結局最後に頼りになるのは友達だよね」オチになりがちだと個人的に思ってるんですが、サクラパパオーもそうですよね。男って、女って、毒づきながらまた明日も生きていくのに助けになるのは隣に立って一緒に笑い飛ばしてくれる友達なんだよねってそういう感覚誰しもあると思います。(ジェンダーにとらわれた視点についてはわたしもいろいろと思うところある方です。一方でホモソーシャル的関係に萌えを見いだす腐女子でもあり、自分でも立ち位置を決めかねています。今回それが本題ではないのですが)
それを表すとしたらノンケBLノンケ百合という言葉になるんじゃないかと個人的に思っています。
恋愛関係を軽んじるつもりはありませんが、恋愛関係以外の関係性にわたしは萌えます。こういうのをBL百合と表してもいいんじゃないかなあって。もっとライトで気軽にBL!百合!って言いたいなあなんて思います。これも舞台の感想とは解離していますね。

とにかく、男と女、男と男、女と女、バカみたいなことを信じてみんなが一丸となる姿は本当に麗しいと思ったのでした。スプリングメモリーを勝たせたのは絶対サクラパパオーだとあの舞台上で、客席で、みんなが信じていたんだろうな。それってすごいなあ。
20年の時をへてまた新鮮にラッパ屋の舞台を、中屋敷さん演出で、塚田くん主演で見れたことすっごい貴重な大切な経験です!サクラパパオー、よかった~!


(国際フォーラムの2階席3階席がもっと埋まること、そして地方公演の成功を祈って)

グレートギャツビー

 
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5月9日、グレートギャツビーを見てきました。

まず井上芳雄さんの圧倒的魅力!!!歌がうまい躍りがうまい立ち姿が颯爽としている。田代万里生さんのニックはいかにもいいひとそうでかわいかった……。トムブキャナンを演じる広瀬さんはもうトムそのまま!嫌なやつなのに自信満々で力強いところに惹かれてしまう。夢咲さんのデイジーは可憐で愛らしく、あかねさんのジョーダンはミステリアスでかっこよく、蒼乃さんのマートルもまた夢を追い破れる姿がすばらしかった。
舞台装置、衣装がとにかく派手でうつくしい。パーティーシーンではセンターの大階段の向こうで本物のオーケストラが見える!まるく穴のあいたパネルが動き、その後ろでカーテンがしまる演出も独特でおもしろかったです。
そして歌もダンスもたっぷりでした。特に酒場でのダンスシーンはスーツ姿で踊るアンサンブルさんたちが大変かっこよくてジャニヲタ心がくすぐられました。PLAYZONEでやってほしい!(ない)


ここまで舞台を見た舞台好きのわたしの感想です。
そしてここからはグレートギャツビー原作及びフィッツジェラルドが大好きなわたしの感想を書いていきたいと思います。


個人的に感じたことが2点あります。

まずひとつめが原作の「信頼できない語り手」であるニックの目線の希薄さです。
ミュージカルなのでもちろんたくさん歌とダンスが入っていて、すばらしいと思います。グレートギャツビー。かわいい曲かっこいい曲たくさんありました。……でもなんとなく間延びした感じがあるんだよなあ、特に1幕。灰の谷に住む男たちの歌、マートルとその妹キャサリンの歌、酒場でウルフシャイムが歌う歌、それらは彼らの主観で彼ら自身のことが歌われる歌なんですね。
原作にももちろん「灰の谷」に生きる彼らはアメリカのひとつの側面、貧困と格差の象徴としと印象的に描かれてはいます。しかしそれもまた灰の谷の住人たちと同じく労働して生計を立てているニックの、貴族であるトムやデイジーに対するある種の反感によるものであるところが大きいとも言えます。
また、序盤にあるギャツビーの独白的なナンバー。回想としてはさまれる軍隊時代のギャツビーとデイジーのナンバー。これらギャツビーの思い出もまた語り手ニックの視点の外で語られてしまっている。(「とらわれのプリンセス」「とらわれのプリンス」なんかの歌詞自体はとても好きです)舞台ではそういうニックの視点を通さない部分が多い気がしました。
もちろん舞台を小説そのまま再現してほしいなんて言いません。(その点でいくとレオさまの華麗なるギャツビーは好き嫌いは別にしてとても原作に忠実だなと今思いました)だからこれはわたしが舞台を見ていて何となく「足りない」と感じたのがなんだったのかの考察に近いです笑。原作を知らないままこのグレートギャツビーというミュージカルのナンバーをもっと純粋に楽しみたかったな、、、

そして2点めがギャツビー自身から受ける印象です。わたしが原作でとても好きなシーンがいくつかあり、それがカットされているということが理由のひとつだと思っています。
ギャツビーがデイジーと再会するシーン、ひとの部屋を花でいっぱいにする、時計を取り落とす、そわそわしていてもたっえもいられずニックに弱音を吐く。物語終盤、デイジーにトムと愛し合った過去を否定するように迫る、そしてトムと言い合いになり「人を殺したような顔」をする。そしてここが一番うーんと感じたんですが、舞台のギャツビーはラストシーンでデイジーからの電話をあきらめているんですね。あきらめているというか、自分からデイジーを彼女の家へと送り出している。
ギャツビーという男は本当にあきらめが悪くて、力と金さえもてば「過去を取り戻す」ことすらできると信じています。そして、デイジーから電話がかかってきたと信じたまま死んでしまう。そんなことはありえないのに!実際デイジーはギャツビーの葬式にすら来てくれないのですから……。だから自らデイジーを送り出す井上芳雄さんのギャツビーのほうがよっぽどかっこいいんですけど笑。
また、ひとつめであげた「信頼できない語り手であるニックの視点の希薄さ」と合わせて考えるとこのギャツビーはとても実在性が高いと思います。舞台で具体的な過去回想として描写されるギャツビーの過去すら原作のニックにとっては伝聞であり真実のギャツビーは誰にもわからないんです。彼の父やにすら。
その点が舞台のギャツビーとの相違点かなと思いました。これもまた舞台を小説そのままにする必要はないので(以下略)


そして最後に。
ラストシーン対岸からのグリーンライトを背に受けながら歌うギャツビー。段々と夜は明け、明るくなった対岸を見つめ、客席に背を向けるギャツビー。その背中は何よりも凛々しく気高く、まさに「あなたひとりがあいつら全部ひっくるめたよりも価値がある!」と感じました。たとえ先に破滅しか待っていなくたって夢を決してあきらめない、過去に向かってひた走ることしかできないギャツビーのむなしくもうつくしい生き様!
井上芳雄さんは本当にすてきな俳優さんだと思います。