駆け込み訴え

ジャニヲタ腐女子の観劇メモ

遠い夏のゴッホ

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※ネタバレあります

7月20日、遠い夏のゴッホを見てきました。
西田シャトナーさんの演出作品、そして銀河劇場もはじめてということでわくわくして行ったんですが、とても楽しかったです。
装置も衣装も抽象性が高くてよかったです。センターにあるはしごが土の中から見た地上だったり、地上から見る木の上だったり何度もいろんなものとして使われていた。装置自体が動かせるようになってるのも大きな力にさからう小さな虫の抗いが見えるようでよかった。衣装は、昆虫や爬虫類両生類たちののそれぞれの特徴が抜き出されてデザインされてるのがよくわかりました。(セミが「胸で歌う」ためにベストを着てたりとか)衣装がそれぞれのキャラクターがとても魅力的でかわいいのをさらに引き立たせてましたね。同じセミでもベストの色がそれぞれちがったり、アリが軍服のようなデザインの服を着てたり、クワガタとカブトムシが同じ黒っぽい服でもシャツにジャケットとTシャツにベストで全然印象がちがったり。
あの舞台に人間が登場するとしたらどんな衣装が与えられるんですかね。なんて思ったり。2本足の巨大な化け物だもんね。
役者さんの演技もみんなエネルギッシュでよかった。それによって後半に出てくるダンディーなおじさま方のどっしりかまえた抑制のきいたセリフ回しもさらに際立ってたなあと思います。セリフ、動き、両方の面で求められてる水準が高くて、熱量をもって演じられてるのが伝わってきました。兼ね役も多かったし。ベアトリーチェただひとりが女の子の役者さんなのにその子まで兼ね役するの!?ってちょっとびっくりしましたが。

前半は「これもうどうなっちゃうんだ?」と思ってしまうくらいはちゃめちゃでしたね笑。話もあっちゃこっちゃするし視点もさだまらないし。でも、ラストに向かって話のすべてが収束していく。夏が終わって秋がきて生き物たちが死んでいく。そして言葉も少なくなって、話も抽象的になって、だからこそ核心的になる。終盤セリフもなく目線や手の動き、ライティングだけでぐっとひきこまれるシーンがあって、それがとてもよかった。(アムンゼンが死んでからのところ)
その後季節が巡ってまた夏がやってきて、一転序盤のように明るい展開が戻ってくる。それぞれ死んだり世代が下ったりしているのがまたぐっとくるんですよね。それで、ゴッホベアトリーチェがまた出会ってしあわせなキスをして閉幕。なのに、またそのキスが森の生き物たちの、地球に生きるあらゆる生き物たちの、愛する人とのキスにまで意味が拡大されるのが冗談みたいにすてきでした。そこの演出が序盤のギャグからつながってるのが粋ですよね。
個人的にはゴッホの夢の中にベアトリーチェが出てくるところが好きでした。「名前を忘れそうになったら大きく息を吸って自然に呼んで」と言うベアトリーチェ自身がゴッホの名前を忘れてしまう。これはゴッホ自身が自分の名前すら思い出せなくなっているからである。そしてゴッホは大きく息を吸って、それから小さな小さな声で大変な苦労をしながら自分の名前と愛する人の名前を思い出す。そこの安西くんの演技がとてもよかった。めっちゃ運動神経が良くて、声も通って、今回の舞台でもこれでもかというくらい動き回ってる安西くんがささやくような声で演技するのにぐっとひきこまれました。


2時間ちょっと休憩もなしのコンパクトな舞台でとてもよかったです。出てる子たちもみんな顔かわいいし。顔のかわいい若い男の子は最高!いやあとなんかトカゲとカマキリ、BLだったよね、、、
(まじめに感想書いてきてそこにたどりついてしまうのか……)